に來たのだつた。もしやと思つて、私は國友大助を訪ねて行つたが、先に彼が私に知らせた住所には既に住んでいなかつた。附近で問うても、ついに行く先きはわからず。佐々が横濱の黒田組の者に會つて、せんさくしても、貴島の消息の手がかりをつかむ事は全く出來ないと言う。
「あの連中の、イザとなつての口の固さと來たらおどろきました。大したもんだ! もつとも、貴島が行方不明になつたのは、國友の方の事を考えて、黒田が言いふくめた上でやつた事らしいから、黒田だけは、知つているでしようが、ほかの連中はホントに知らないのかもしれませんね。その黒田にしても、金でも掴まして逃がしてやつただけで貴島がどこに居るかは知らんでしよう。ああいう仲間ではよくある事です。つまりワラジをはくと言うやつです。とにかく、死んではいない事だけは、たしかです。二三カ月すれば現われますよ」と佐々は言つた。
 それから、その三カ月ばかりも過ぎたが遂に消息なし。氣にかかりながらも、時に忘れることがあるようになつた頃、フイと貴島から長い手紙が來た。無事だつたかと安心したことだが、しかしその手紙自體は變な手紙で、それについて差しあたり、なんと言えば
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