れた。後になつて考えると、これは、襲つて來た連中が前もつて坂の上あたりに見張りに立たせていたものらしく、それが、誰か人が來たか(――もしかすると巡囘の警官だつたか)何かで、それにこの場の事件を知られてはまずいと言うので知らせに驅けつけたものらしい。たちまち、電燈が消え、人と人の間に、短かい符ちようのような言葉が投げかわされ、刺されて倒れている男を一同でサッとかつぎあげるや、ザザッと風のように走り出し、闇の中に散つて行つた。
 電燈が消えた直後の、目つぶしを食つたような暗さの中だし、一つ一つがそれとハッキリ見えたわけでは無い。しかも、その迅速さが普通のものでは無い。ほとんどアッと言う間も無い出來ごとであつた。こんな事に馴れ來つた者たちの行動である。
 書けばこれだけの長さになるが、前にも言つたように全體がホンの數分の出來ごとだつた。映畫のカットバックでも見さされたように、びつくりしたり恐怖を感じたりしている暇も無かつたのである。わきを見ると久保もボンヤリと立つている。暗いので表情は見えないが、ダランと兩手を垂れた氣配に、かくべつ昂奮しているようなものは無かつた。……フッと貴島と杉田の事を
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