。どんな――?」
「いや、國友の方じや無い。私服の刑事かなんかだ。このへんを二三囘ウロウロして見てまわつていたようだつたが、今、そこの角を曲つて行つてしまつた」
「ふうん…………」
「……毎晩ここいらにやつて來る國友の奴等のことを、ドロボウか何かだと思つて、誰か此處いらに住んでいる人間が、サツにそう言つて行きでもしたんじやないかね? 心當りはないかね?」
「無い」
「そうか……」杉田はチョッと考えていたが
「まあいいや。どつちせ、大した事は無かろう。何か食う物、買つて來てくれたかね? なんせ、三四時間立ちどおしで、腹ペコペコだ。おどろいたよ!」
「買つて來た。食おう」
 久保は防空壕の方へおりて行く。私と杉田もそれに續いた。壕の中からはボンヤリしたロウソクの光が差していた。私たち三人が狹い入口をおりて行くと、その光にユラリと影を動かして、寢そべつていた男が一人、起きあがつた。
 貴島勉であつた。
 そこに貴島が居ようとは思つていなかつた。それなら、そうと言つてくれればよいのにと、あらためて久保を見ても、久保は何事も無かつたような顏をして、買つて來た食料品の始末をはじめている。氣がついて
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