ているようだけど、その時には、男に抱かれて寢ているのと全く同じなんだわ。わかる、久保さん? 私の言うのはそれさ。それまで私をなにしときながら、そこから先のかんじんの事となるとケロリと知らん顏しているんだもん! ザンコクじやないか! え、ザンコクじやないの、久保さん! 貴島という人はそんな人なのよ。だからインポテントの色魔! それが私だけじやないのよ。私の知つているだけでも、貴島さんに同じような目にあつている女が五人も六人も居るんだ。一體全體――いいえ、こんだけの女の恨みが、ただですむと思つて? 今に見て御覽なさい、あの人の身の上にロクな事はないから。見ていろ畜生!」
「何だか俺にやあよくわからないよ。貴島にそう言つとく」
 久保は、兩手をフラフラさせて、まつわりついて來そうにする染子のそばを離れて、私の方へやつて來た。女はそれをしばらく見送つていたが、急にゲタゲタと笑い出し、片手を高くこちらへ向つて上げた。
「バイバイ。あばよ!」
 フン、と言つたなり久保はふりかえりもしないでスタスタと歩き出していた。
 そのうしろ姿を見ながら、私はそのまま歸つてしまおうかと考えた。いつしよに防空壕に
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