日歸つて來ません。僕の會社のストライキで、デモだなんて言つて騷いでて、なぐり合いが始まつてね、十人ばかり警察へ持つて行かれたんです。そん中に佐々もまじつて居たらしいや。俺も會社の二階から見ていたけど、夜で暗いもんで、ハッキリ見えなかつた」
「すると……君はなにかね、貴島君の事について、最近何か聞きはしないかね?」
返事なし。
「……ルリという女が――そうだ、君はまだ知らなかつたかな? 防空服を着た若い女だが、二三日前に、そんな風な女が此處へたずねて來なかつたかね?」
「さあ、知りませんねえ」
「いや、その女の事でなくてもだね、最近何か變つた事が無かつただろうか?」
「僕は毎日會社の爭議の方へ行つてるから何も知らないんです。……ただこの間から、そうだなあ、十日位前からかな、夜になると變な奴が三人も四人も、僕等の防空壕を遠卷きにしてウロウロしていますがね、たいがい毎晩ですよ。顏はわかりませんけどね。貴島をねらつているようです。………いや、さつきの黒田の子分などとは違つた連中のようです」
氣の無い調子でそう言つてから、しばらく默つて歩いたあと、ヒョイと又脈絡の無い事を言いはじめた。
「佐
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