にされてしまうのね。それが段々つもりつもつて來て、お兄さんたちに憎まれてしまつてごらんなさい。かんじんのシバイの方で役がもらえなくなるの。するとお給金もさがるし、肩身がせまくなるし、居づらくなつてしまうんです。そんなふうにして、劇團をやめてしまつた人が二人ばかり有つたわ。ねえ先生、私どうしたらいいかしら?……いえ、それ位のこと、どうせ覺悟して入つたんだから、なんだかだと言われるのは、なんでもないんです。お給金がさがつてしまうのも、がまんする。しかし、それがコジれてしまつて役ももらえなくなれば、せつかく私、芝居の勉強しようと思つてあんな所に入つた意味が無くなるんですもの。つらいわ。ホントに、ホントに私、こうしてしんけんに芝居の勉強しようと思つているのに……私、一人前の女優になるためになら、ホントにどんな目に會つてもいいと思つているんです。だのに、そんな事から勉強ができなくなつたら、死ぬよりつらいんですの。……實は昨日から又、次ぎの、二の替りの出し物のお稽古がはじまつていて、ゆんべも小屋で泊つたんですの。今夜も泊らなきやなりませんの。イヤでイヤで、しようが無いもんですから、私の役を、ほかの
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