子があつた。「………いやだと思いながらやつていても、多勢の仲間をひかえていれば、これで、筋道だけは立てて行かなきやあならないんですよ。詳しい事をあなたに話してもしかたが無いんで、ざつと言いますが、黒田組と私共の間には半年ばかり前から取引きがありましてね、いや取引きと言つてもどうせ私等の世界の事で、どうといつてはつきりした契約のある事じやない。然し案外にこれで私達同志の取引きは堅いもんです。それが、黒田の方でしばらく前に不意打に私達にスカを食わした。かなり大量の「クロ」を黒田の方から私の方へ引取つたんだが――まあ、或る藥品だと思つて下さい――そいつを私共でいくつかに分けてほかへ※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]した。あとになつてそいつが贋物だつたという事が、分けてやつた先からわかつて來たんです。全部が全部贋物じやあ無かつたらしいが、かなり澤山の贋物が入つていたんですねえ。そしてこの事をこちらで言い立てる事が出來ないような手を黒田の方が前もつてちやんと打つてあつたという事なんですよ。ここいらの事はあなたに話しても仕方がないから話しませんが、私どもの間には義理だの仁義だのと――まあそ
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