下さい。………僕は現在貴島が何處に居るかほんとに知らない。横濱界隈の小さな船着場だという事は知つているが、それ以上の事は知らないんだ。さつきも言つた通り君に嘘をついて見ても仕方がない。だけどかりに貴島のありかを知つていたとしても、僕はあんたに言わないよ。………それはわかつてくれますね、國友さん? 然し僕があんたに言いたい事はそんな事じやあないんだ。そんな事よりも、ぜんたいあんた方は貴島なぞを追いかけてどうしようというの? いや貴島をかばう意味で僕は言つているのじやない。一人や二人の貴島なぞどうでもいいのだ。さつきあんたが言つたね、亡びてしまつた日本の、法も道もない世界で、何故今更そんな事をしようとするんだろう?」
「………おつしやる通りです。私達のしている事は實につまらんし、こんな風になつた國をこの上だめにしてしまうような事です。知つています。知つていてもどうにも足が拔けないんですよ。三好さん、それが世の中だ、惡いと知つていても長年身にしみついた事からはなかなか拔けられない。そうなんだ。いやで仕樣がないが、私など、ざつとこんな事で果てるんですねえ」國友の聲に嘘のものではない深い自嘲の調
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