の子分で無籍者です。全部愚劣なことです。
こんな事では無いのです。僕が手紙を書くのは、こんな事のためではありません。Mさんの事を知りたいんです。どうしても知らなくてはならないのです。この一週間ばかり急にそれがハッキリして來ました。僕が知りたいのはMさんに關係のある事なんです。それは今度お目にかかつて、くわしくお話しします。…………」
手紙は、そこでプツンと切れていた。明らかにまだ書きつづけるつもりのやつが途中で不意に中絶されたらしい。その中絶のしかたに何か不吉なものがあつた。
貴島勉という男が私にいくらかハッキリわかつたような氣がするにはした。しかし、まだわからない所がある。部分的にハッキリした所が出來たために、わからない點は前よりも更にわからなくなつたとも言える。特に彼の精神方面――性格や心理の内容は、ほとんど未だ私には掴めない。
私は手紙を前に置いて眺めながらボンヤリ坐つていた。その私を、貴島の例の兇惡な眼が、どこかの隅から見つめていた。
21[#「21」は縦中横]
貴島勉の長い手紙を受けとつてから、五六日後の夜、私は佐々兼武の訪問を受けた。
その夜
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