ら顏見知りでね、ルリ君を一二度此處へ招待して御馳走したことがあつたりするもんで、思い出して、相談するために訪ねて來たんですね。いやあ、實は、あの身體にや、わしあ惚れ込んでいるんでね、それに商賣にもなるし、わしにして見れば小鳥が飛び込んで來たようなもんで、願つたりかなつたりだからね、ヘヘヘ! 下にも置かないようにして歡待していますよ。當人も喜こんでいるようだ。と言うのは、男から觸られさえしなければ、裸かになつて舞臺に立つて人に見られたり、それから寫眞を撮られたり、するのは、嫌いでは無いらしいんだ。それが、つまりコグラカッちまつた人間の特色でねえ、今言つた閉塞症みたいになるかと思うと、今度は出しぬけに、露出症にもなるんです。そこいら邊が、この道の面白いところだね。ヘヘ! いや、その、どつかの男から何かされたと言うのが、どんな事されたか、ルリ君言わんのです。いずれ、大した事じや無いと思うけど、しかし、もしかすると、この、なんだ。――もしそうだとすると今言う通り、あの肌はどうなる? ありや、オボコ娘の肌だ。わしの眼にや、そうとしきや寫らん。だから、わしの眼は節穴と言うことになるわけだ。しかたが
前へ 次へ
全388ページ中117ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング