たんです。ザコネの事も言つて笑つていました。
「なあに、あの子は、とてもそんな所には居れないと言いますけどね。實は大した事じや無いんですね。フダンにしたつて、そのザコネをするんだつて、わしはよく知つているけど、そんなにビンランした眞似は誰もしやあしません。今どき、いくら輕演劇團の中だつて、そんなアコギな、總當り制みたいな事がある道理が無いんだ。いやいや、そんな事があれば、わしなんざあ、かえつておもしろいと思うけどね、むしろ無さ過ぎるんで、つまらんでさ。ヘヘヘ! いや、案外に、ああいう所はキチンとしたものなんだ。エロエロばつかり搜して歩いているわしが言うんだから、まちがい無しですよ。だのに、それ位の事でルリが、とてもそんな所に居れないと言う。これ又、ルリにとつては正直ホントウでね。フフ! それはね、あの子の育ちのセイもあります。とにかく、たいへんな家庭で育てられたらしい。舊華族のカチカチなんだなあ。そういう所でギッチリと取りこめられて十八九まで來た。自分では、まるで氣が附かないで、身體だけは立派な一人前の女になつていた。それが、終戰後、いつぺんに解放されたんだ。風船玉が破裂したようなもん
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