みたいな一黨と黒田の間が妙なことになつていて、それに貴島がいつちよう噛んでいる、そのためもあつて、つまりそのギャングどもから貴島の身がらを隱すために、黒田の方では貴島を横濱邊をアチコチ移動させてかくまつているらしいんですからね。假りに僕がそこを知つていても、そういう所へルリなんて若い娘を連れて行けやしません。しかもホントに僕あ知らないと來ているんです。………それがだんだんあの女にもわかつて來たらしく、しまいに、連れて行つてくれとは、言わなくなりました。しかし、なんとかして會わしてくれと、僕に頼むんです。じや貴島と連絡のとれ次第、知らせるから、あなたの所を教えろと言いますと、それをどうしても言いません。あなたの所、つまり三好先生の所へ知らせてくれれば、私が先生の所へ聞きに行くからと言います。自分の今居る所をどうしても人に知られたくないらしいのです。そんなふうな押問答をしているうちに、あの女が「先生、どこへいらしつたの?」と言い出した。僕は、タバコでも買いに行かれたんだろうなどと言つて、とにかく、あなたが戻つて來るまで押えているつもりでした。ところが間も無く、不意に、あなたが何のために外に
前へ 次へ
全388ページ中111ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング