うな氣がする。それに、九十九パァセントは徒勞であるかも知れないにしても、殘り一パァセントだけの微かな希望は抱いておれる。もしかすると、萬々が一――そう思つていられるのだ。僕は、探索をやめない。…………だとすると、やつぱり、差し當りはこのリストを頼りにして歩いて見るほかに手段は無い。………又又、ドウドウめぐりだ。しかたが無い、俺という人間はそういう人間なのだ。
 ところで、それにしても、こうして搜し※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つて、萬々が一、あの夜の女に行き逢つたとする。その時、どうしてそれがあの時の女だつた事がわかるんだ? 顏はおぼえていない。聲もほとんど聞いていない。體臭だけは憶えているような氣がするが、しかしハッキリとした自信は無い。もう一度あの匂いをかげば、かなり正確に思い出せるような氣はするが――假りにそうであつたとしても、一人一人訪ねて行つた女の人の匂いを、そばへ寄つてかいで※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]れるものでは無い。その事が、既にこれまで一人二人三人と歴訪して見て、だんだんわかつて來た。それに男とちがつて女の人は、化粧品を使う。化粧品には似た匂いが多い。その中から、その女特有の體臭をかぎわけるのは、かんたんには行かない。特に、ただ一度か二度訪問して行つて會つただけでは、そんな事はほとんど望めない。
 では、どうすればよいか? どうにもしようは無い。不可能に近いことを知りながら、これをつづけて行く以外に無いのだ。搜し出せるか出せないか、それとわかるかわからないか……一切合切が出たとこ勝負の運まかせだ。なんと言う阿呆だろう僕は。それを知りながら、それをやつて行くのだ僕は。

 ………………
 三好さん――
 僕が一番最初に會つたのは立川景子さんです。
 あなたの書いてくださつたリストの三番目の人です。
 一番目の人は所書きがありましたが(大森)、そこへ行つて見ましたら、その番地の附近一面が燒野原になつていて、そこらの人にたずねても交番で聞いても、以前の住人のことなど、まるきりわかりませんでした。二番目は名前だけで所書きはありません。で三番目の立川さんを訪ねて澁谷へ行きましたが、これも燒け跡で、たずねようがありません。しかし、これには(Tー女優)とありましたので、T會社に行きました。そこの人事課の人にたずねましたが、そんな人は會社
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