變つた人だつたと思います。やつぱり、何か多少は水商賣がかつた、たとえばバアや飮み屋につとめている人とか、シバイや映畫などに關係のある人とか、その他、そう言つたふうの世界の女ではなかつたかと言う氣がするんです。すると、やつぱりMさんの生前の、その方面の知り合いを、片つぱしから搜して見て、何か手がかりをつかむ以外に無いと思つたわけです。
 そして、今、僕の前に、あなたから書いてもらつた、そのリストがあります。女の人の名前が十五人書いてあります。先日から、暇にまかせて、僕はこれを何度も何度も眺めて研究――と言うと大ゲサですけれど、いろいろに考えています。
 この十五人の中に、あの人が居るだろうか? 多分、この中には、その當人は居ないだろう。居ると思うのはあまり虫が良すぎる。だから、この中から、次ぎに僕がその人を搜して行くためのツテなりキッカケなり、ほんのチョットしたヒントのようなものでも掴むことが出來れば、もうそれだけでよいのだ。しかし、もし萬一、この中の一人が、あの女だつたら? いや、そうでは無く、この人たちの誰かから何かのヒントを得て尚も搜しまわつた上で、あの女に逢えたとしたら?
 いやいや、そうであつても、僕はあの女の顏をハッキリおぼえていないのだ。いよいよ逢つて見ればもしかすると思い出せるかも知れないけれど、しかし、おぼつかない。すると、たしかにあの人であつたと言う事を、どうして判斷すればよいのだ?――そう思つて來ると、僕はなさけ無くなり、頭がポーッとしてしまうのです。泣きたくなります。あまりにあまりにミジメな自分にです。俺は何と言うなさけ無い、幽靈みたいな人間になつてしまつたのだろう? こんな、人を數人も斬つた事のある大の男が、こんなオカシな、夢のような、ミジメな搜し物をするというのは! 實際、泣きたくなるんですよ。
 えい、こんな事、よしてしまえ! とも思います。そしてひと思いに死んでしまおうかと思います。しかし、それが出來ません。かくべつ生きていたい慾望も理由も無いのに、ただなんとなく、死ぬこともできません。そうすると俺は、この先き、何をして行けばいいのだ? なんにも有りません。したい事は何一つ無いのです。みんなみんな、はじめからわかり切つているような、白つちやけて見えるだけです。愚劣なんです、すべてが。
 ただ、あの女にもう一度逢つて見ようと思うだけが、今
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