られていないで、あれもこれも根こそぎまちがっていて、その根本を叩きこわさなければ問題にならぬといった式の、皮肉の味に満ちた絶望みたいなものだけが与えられていることが多い。そして、そこから先は、ポカンとなってしまって、どうしてよいかわからなくなっているようです。
 私どもが、ある一つの問題について、あなたの意見になるほどなるほどと賛成しながらついて歩いていっていると、どこまでかいくと、さてどうしてよいかわからない場所に投げだされています。だが私どもは、どうにもしないでいるわけにはいかない。そこで、どうにかしようとすると、それまであなたにみちびかれて歩いてきた論理の道筋としては、共産主義または共産党員としての実践の道以外は残されていないようにみえる。だから、なかにはその道にはいっていく人もあるでしょう。しかし、かならずしもそんな人ばかりではない。共産主義を一つの思想としては是認しながらも、実践的な体系としては肯定しえない人も多い。そういう人は、そこのところで、ちゅうちょして立ちどまり、問いかける目つきで周囲を見まわすでしょう。
 そこにあなたの姿が見つかれば問題ではありません。ところが、あ
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