「芋入れだけでも」]今年は用捨して貰いてえと願い出て見ようでねえかと、村で寄り寄り相談ば打《ぶ》ったでがす。それだけのことでえすて。村は加々見でえす。
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行商人 ……ふーん、でもさ、今日はお仕置きだちうのに、今日の連判では役に立つめえて。ええと、ええ兼ねて右之者共人柄よろしからず、ええ、その次の字がわからねえてや……。
仙太 いいえ、あんた様、人柄よろしからずなんど、それは私の兄きにそんなこと言いがかりをつけるのは、それは暴《ぼう》と言うもんでがんす。もう下の段に連れて来られていますによってどうぞご覧下せまし。人柄が悪いなんどと、そんな、あなた様! どうか、お願いでごぜます! 助けてやってくだせまし! へい! この通りでごぜます。決して決して大それたことばいたすのではごぜましねえで。兄きは叩き放し村方お構《かま》いの御仕置《おしおき》でえすけんど、叩きは二百が三百だろうと兄きも覚悟しております。お上《かみ》に御手数かけたからには、それ位のことは当り前で、それのお取止めお願え申そうとは私等思っていましねえで。ただ村方お構いだけを、ど
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