がら振返って)おい仙太、おぼえているがええぞ!
仙太 ご念にゃおよばねえ。しかし旦那、そんな具合で自由党征伐の加勢をすりゃ、何か得のいくことがありますかね? (これに対して平松何か返答しようとするが、他の九人がすでに見えなくなっているのに気づいて、えらい形相をして舌打ちをしたまま、踵を返して右手へ走り込んで行く……間)
段六 あんだい、ありゃ?
仙太 アハハハハ。
滝三 だども……平松の旦那にあんねなこと言うてもええのかあ、お父う?
仙太 ふん。ああに、あれでええさ。アハハハ。(段六の耳に口を持って行って)段六公、平松の旦那ちの地所《ぢしょ》は、どれぐらいあったかなあ?
段六 平松かあ? そうよ、きょうび[#「び」に傍点]では、三十町はくだるめえて。この辺一帯、微碌旗本の田地で荒れ放題になっていた奴ば、二足三文で買いしめた上に、その後、金ば貸しちゃ、借金のかた[#「かた」に傍点]流れで大分手に入れたかんなあ。御一新前から平松の旦那といやあ剛腹で鳴らした金貸しだあ。いまにロクな目にゃ会うめえて。だが、なんだぞう、仙太公、旦那衆にタテえ突いちゃ、此方が損だぞう!
仙太 (笑って)段六公の馬
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