角二 き、き、貴様自由党に味方をするかっ! こら、おい、き、き(懐中から短銃を出して打ちそうにする)
仙太 射つのか? 射つなら射って見ろ! そんな、ブルブルもんで俺に当りゃ、おなぐさみだ! 自由党がお前達のことを犬だと言っていたが、なるほど犬だ。それも狂犬《やまいぬ》だ。
角一 (平松に)此奴、なんだ?
仙太 何でもねえ、この田を作っている百姓だ。へい、これは平松の旦那さま。
平松 き、き、貴様! 詰らん、邪魔ばすっか! 作っているのは貴様かも知れんが、田地はわしのものだぞ! 邪魔ばすっと、田地ば引上ぐっぞ! 小作はやめさせるぞっ!
仙太 旦那、血迷っちゃいけねえ。そいつはご挨拶が違うだろう。俺がお稲を大事にすりゃ、そいだけお前さんも儲かるんだぜ。へへへへ。仙太郎、ありがてえと、礼をいいなすってもいいところだ。
角二 仙太郎? 斬られの……例の?
角三 とにかく、早く行かんと――。
仙太 斬られたこともあるし、射たれたこともある。さあ、行くなら行ってみな。
角一 (他の者に)おい、早く行こう! (十人、田へ踏み込むのをやめて、路上を右手へ向って走り出す)
平松 (それらの後につづきな
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