段六に向って声を張り上げ手でラッパを拵えて)お茶はまだだい、段六伯父さ。よく空く腹だぞ。芋が来ねえで、はあ、お気の毒みてえだ、伯父さ! ハハハ。
段六 あんだと、滝三め! 芋も芋じゃが、お咲坊が来ねえでは、お前こそお気の毒さまみてえなもんだて! アハハハハ、知っとおるぞ。知っとおるぞ。アハハハ。(仙太郎の方を見て)んでも、仙太公、お前何とか言ったけ?
仙太 (これも手ラッパで)あのなあ、えらく、お日でりだで、川の方の三角田にゃ明日あたり上から少し水ば切り落しとかねえじゃと言っているのよ、段六公。
段六 おおよ。そうしべか。世間が騒々しいとおてんどさままでが調子っぱずれだ。やれ、どっこいしょ。(と再びしゃがんで姿を消す)
仙太 さ、もう一息やろうか。(再び泥掻き)
滝三 あの、お父う、さっきあの連中虎雄のこというてたが、それじゃ、いよいよ……。(と不安そうにしてしきりに話したがるが、仙太も段六もそれを耳に入れず相手にしないので仕方なく、これも稲の間に姿を没して働きはじめる)
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(かなり永い間――水の音)
(花道から女房姿のお妙とお咲が出て来る。二人とも着流しだが甲斐
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