い子なそうな。母ちゃんは、滝坊の?
滝三 あっちだて。
お蔦 仙さんはお前のお父っあんの仇だと。お父っあん、どうしたえ?
滝三 父ちゃん、あっちだ。
お蔦 なにもわからない。……田んぼの方へ行って見ようか。皆が草を取っているよ。(立上って土間の方へ行きかける。そこへ外――奥――から戻って来る二、三人の足音。段六の声で「さ、しつかりなせえよ、嬢様、家に着いたで、しっかり」と聞こえて、お蔦がびっくりして見ていると、どうしたのか真青な顔をして目をつぶってグッタリしているお妙を段六が肩に負わんばかりにして、それをまた、養われている子の中で年かさな男の子が一人、お妙の右手の杖になって助けながら戸口から入ってくる。三人ともいままで、水田の中で働いていた身なり[#「なり」に傍点]で手や足は濡れている。甲斐々々しく出で立ったお妙は着物が腰の辺まで濡れている。田の中で倒れでもしたらしい)
段六 (お妙の身体を上り端にソッとおろして)さ、しっかりすっだよ、嬢さん、うちだ。こうれ!
お蔦 どうしたの、段さん?
段六 ああによ、タンボでつんのめってね。いわねえことじゃねえ、このウン気に朝からだ。早くあがんなせ
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