いが、兵藤氏が居られる。無駄となればこの上なし。頼む。
士乙 承知いたしました。(甲に)行こう。(乙は皆に一礼して再びくぐり戸の方へ行き消える。――間。一座が緊張したまま白け渡る。士甲は不安そうに座敷の四人を見ている……)
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(出て行った乙が二重になった塀の外のくぐり戸を開けて出たと思われる頃、その方で突然抜打ちに斬りつけたらしいガブッという音と同時に誰が斬られたのかワッと叫ぶ声。あとチョイとシーンとしてから、内側のくぐり戸に外からドシンと物が当ってパッと開き、左肩の辺を斬りつけられているらしい士乙が四、五歩ヒョロヒョロ飛込んで来るなり、真青な顔を引きつらせるようにして皆に向って何か警告をいおうとするが、口が開くだけで声は言葉にならぬ。オッ! と叫ぶ士甲。乙は抜いて持っている刀で塀外の方を指し示すような身振りをして、身体を支え切れず前へしゃがみ込むような具合に植込みの方へ倒れてしまう。瞬間五人は開いたままのくぐり戸から誰か躍り出して来るかと、息を止めて見詰めるが、外はシーンと静まり返っている。甲が目が醒めたようになり刀を抜いて小走りにくぐり戸の方へ行き、チョッと外
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