合せは途中でよい。急ごう!
仙太 加多さん……俺あおことわりしてえ。
加多 なに! 何んと申す?
仙太 誰かほかの人をやっていただきてえ。
水木 こら! 命令に背くか、貴様! なんでだ? 理由を言え! 理由をいわんか!
仙太 ……へい。
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(短い間、三人が仙太郎を見詰めている)
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井上 チェッ、急ぐのだ! グズグズしている間に、奴等が、また京都にでも行ってしまって見ろ。よろしい、拙者一人で何とか……。
加多 待たれ。失敬なことをいうようだが、君一人では歯が立つまい。まして相手は二人三人になるかも知れぬ。仙太、いま更になってどうしたのだ?
仙太 ……お願えだ、ほかの人を。
加多 思い違いをしてはいけないぞ、これはわれわれが独断で命ずるのではない、田丸先生以下諸先生の最初からの計画にあったことだ。いま本隊不在中に知らせがあったため、実行に移るまでの話。思い違いをすな。
水木 貴様、臆病風に吹かれたな。軍律を忘れたか! 斬って捨てるぞ!
仙太 そうじゃござんせん、そうじゃねえ。……が、臆病風に吹かれたとして置いて下すってもいい。加多さん、俺、少し
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