奥、山上より急ぎ足に話しながら出てくる前出の仲間姿の井上と加多源次郎、それに隊士の水木の三人)
[#ここで字下げ終わり]
水木 こない所を見ると、一緒に進発したのか、仙太は?
加多 そんな筈はない、山上にくるように早田にいっといたのですから。
水木 (段六と仙太郎を認めて)おお、何だ? こらっ、貴様、何だ?
段六 (仙太を助け起しかけながら)ひえっ! へい!
加多 ああここにいるか、仙太郎。
水木 何だと言っているのだ! 言わんか! (刀の束に手をかける)
段六 (這うようにしてわきへ飛び退いて)あんでもねえ、へ、へい! ひゃ、百姓で仙太の朋輩で。これっ、しつかりせえよ、仙太公。これっ!
加多 仙太郎は、よろしい。早く帰れ!
水木 怪しい奴だ。帰らんかっ!
段六 (相手がいまにも斬りつけそうなので、転げるようにして左手へ走りながら、すでに身を起しているが茫然としている仙太郎の方へ首だけ振向けて)な、仙太よ、その長五とやらが来ぬうちに早く逃げてくれよ! 殺される! 罪ば作るなっ! いいや、早く真壁なりと植木へなりと百姓をしに帰って来い! こんな、こんな……。
水木 まだいるかっ! (抜刀
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