隊十五名は麓において味方に合し、結城へ。よいかっ! 進発!」という声がハッキリと聞き取れる。同時に隊士二を先頭にして遊隊の十四、五名が一列に並んで右手より急ぎ足に出て来る。中に三、四の軽輩らしい士が混っているだけで殆ど全部が百姓と町人出の者ばかり。前出の遊隊一も二もその中にいる。全部、不揃いではあるが甲斐々々しい戦仕度。緊張して皆無言である。段六など無視して花道へ)
段六 あれまあ! フェー! (めんくらって、飛退り呆然と見ている。大部分が通り過ぎてしまってから、その中に、仙太郎がおりはしないかと思い出して、隊士等の顔を覗き込むようにする)あのう、もし! もし! 真壁村の……。
隊二 駆け足! (十五名は小走りに走って順々に揚幕へ消える。十五名の一番最後に少し離れてついて出てくる仙太郎。左手に抜身、右手に砥石を下げて)
仙太 真壁村……?
段六 おっ! ここにいた、仙太公! お前ここにいたのか仙太公!
仙太 おお段六公ではねえか! お前まあ、どうした? いつここに来た。
段六 仙太公! 俺あ、俺あ、あの……(と何から先にいってよいかわからず、泣き出してしまう)
仙太 まあ落着きなよ段六
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