のがそんなものじゃないのかしら。
お前の人格や暮しの事を二重三重四重と私は思ったけれど
そのどちらもが、お前に取ってホントなのじゃないのか。
ここでそうしているお前も、ほかでああしているお前も、どちらもホントで、
そういう人間がお前なんだ。
転向前のお前も、転向後のお前も、それから転々向した今のお前も、
どれもこれもお前にとってホントだったのだろう
そういう人間でお前はあったのだ。
弱い、もろい、そして何かの手で気まぐれに作られた人間が
生きて行くことに耐えて行くためには、
誰しも実は、たいがい、そうではないのかしら?
お前は、ただの人間だ。
たくさんの、ほかの人間と同じように、ただの人間だ。
それを、特別の人間みたいに思っていた
そのために私は腹を立てて、憎んだ、こんなに。
そうだっけ!
いいえ、あたしは、それでもお前を許しはしない
許しはしないが、憎むことは、もう出来ない
憎んではいるけれど、前のようには憎めない。
殺してもよい、しかし、殺しても、つまらない

満足し、ダラリとなったお前と女を、節穴の中に残して
私はションボリ、うちに戻って来た。
私のうちで、妙なことが起きてしまっ
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