いろいろの所からお座敷がかかる
パーテイやキャバレのアトラクションの仕事がある
あちらこちらパトロンが附いて
気が向けば、あのパトロンや、この客と
ホテルに泊り、温泉に遠出する――
間もなくレヴュ小屋のつとめはやめて
ここのクラブのソロ・ダンサアに契約し
きまった仕事はそれだけで、あとは好き勝手に飛び歩く
気が附いた時は私という者は
表はダンサアの、実は高級ピイになっていた
いいえ、それを後悔する気など、こっから先も起きなかった
かくべつの喜びも感じはせぬが
歯を食いしばって、意地になったり
深刻ぶって無理をする気は微塵もない
ただズルズルと何も思わず
ズルズルとドブドロの一番底に沈んで行き
沈んだ自分を、自分でふみにじりたかっただけ。
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(フッと我れに返ってニッコリ笑う)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
とうとう言ってしまいました
あなた方の前で趣味の悪い、
言うまいと思っていたのに、ツイ言ってしまいました。
だけど、ここまで申し上げてしまった上は身もふたもありません
クダクダと手数のかかる話はいたしますまい
そうな
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