切って
御存じのストリップ――皆さま見飽きていらっしゃいましょうが
まあ、しばらくごしんぼう下さいまし。
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(音楽が変る)
(美沙、ユラリと椅子から立って、不意に自分だけの想いに、つかれ、遠い所を見ながら、階段の下を一方の方へユックリと歩いて行く。……立ちどまって、こちらを見て、サッとはにかんで、持っていた金色の羽根扇をパラリと開いて、顔をかくして、手元の骨の間から客席を見る。その片頬にさざなみが寄せるような嬌羞のほほえみ。……やがて扇を胸にさげる)
[#ここで字下げ終わり]
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どう言えば、よろしいのでしょう?
イライラ、イライラとここの所を
ゴムひもでくくられて、つるしあげられて
グルグルと振りまわされているような、
足が地につかないで、あがいてもあがいても
雲ばかり踏んで、胸がドキドキするばかり、
はがゆいようにウットリして、
恋とも愛とも自分では気が附くものでございますか
それに戦争でございます、空襲です、
一人々々の心の奥の出来ごとに、
人も自分も気が附く暇もありません。
煮えくりかえる釜の中で
ただもうボ
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