ほ、私の手も酒に行きます。(と、もう一つ酒をついで)
チェリオ!(飲む)
とかなんとか、上品めかして言いますけど、
ありようは、ただ、なんでもいいから飲みたいのよ
緑川美沙、実は、女しょうじょうだあ!
は、は、は、は! まあ、お聞きなさい
カタカナも知っていますが、こんなものも知っています
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(朗詠)
[#ここで字下げ終わり]
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さかしらを言うと
酒飲まぬ人の顔
よくよく見れば
猿にかも似る
猿になっちゃ大変だ。(ふくみ笑いをしながら、又つぐ)
チェリオ!(飲む)
さて、その次ぎに良いものは、
恋愛でございます。
恋愛。こい。ゲスは色ごととも申します
せつなくて、やりきれなくて、駆け出したくなり、
じれてじれてじれぬいて、しんからシミジミうっとりして、
しまいには裸かになってふるえます
それが恋。
恋は人を裸かにいたします、
私も裸かになりました。
その話をいたしましょう。
と申しても、たかの知れたこれだけの女一人
ただもう身体と心の裏表から隅々までを
キレイきたないのお構いなしに
着ているものをぬいでぬいで脱ぎ
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