す。
どうせ、おなぐさみでございます
失礼は前もっておわび申して置きます
あなたの前にはおいしいお酒があります、
あなたの横には美しい友だちがおいでです、
音楽もはじめていただきましょう(右手へ向って手をあげて合図すると、バンドがユックリした曲を奏しはじめる)
わたくしも、失礼いたしまして、
すこしお酒をいただきます。(階段をおりて来て、そこに一組だけ置いてある大理石の小卓に向って椅子にかけ、卓上のリキュールのビンからコップにつぐ)
[#ここから3字下げ]
(そのコップを持ち、コップ越しに、ウインク。花が開くように笑って)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
どうぞ、ゆっくりと、お気軽に、
チェリオ!(飲む)

ホントに酒は良いものです
そうではございませんか
雨が降って風が吹いて
自然と人は入れまじり音を立て匂いをはなち、
乱れ、集り、こりにこって、酒になる!
スピリットとは、よくいった!
ほほ、それ位のカタカナは私だっても存じていますよ。
だから人の思いが、こりにこって
恋しいにつけ、憎いにつけ
人の手は酒に行きます。
そうではございません?

前へ 次へ
全91ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング