で先頭に立って働いた
それに劇団の中だけには自由で進歩的な空気があった
そして何よりもそこには
まだ芸術らしいものが有ったのです。
戦力増強のためと言うことと
自由と進歩的であるとことと[#「あるとことと」はママ]芸術と言うものとが
どんなふうに組み合わされているか
ぜんたい、組み合わせる事の出来るものかどうか
考えて見ようとする人も居なければ
考えている暇もありません
山田先生から吹き込まれた理窟を
実際に実践するのは此処だとばかり
夢中になってシバイをしたのです

シバイというのは妙なものです
役者というのはおかしなものです
というよりも、この人間のカラダというのが
もともと、おかしな、変なものかも知れません
シバイはからだでするものです
はじめは頭がそう思ってカラダを持って行くのですけど
いったんカラダが動き出すと
カラダの法則と言うものが有るかしら?
カラダは一人で動き出す
頭のいうことを聞かなくなる時がある
逆に頭を引きずって行ってしまう時がある
だからカラダは楽しく、恐ろしく、やめられない
だからシバイは楽しく、恐ろしく、やめられない
役者はみんな少しずつ[#「少しずつ」は
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