れも激励してくれるし、
その劇団の人たちもよろこび迎えてくれますので
そこへ入って勉強をはじめました
そのため山田家を出て
劇団の先輩の女優のかたの部屋に住むことになったのです
もうその頃は戦時状態はますます焼けひろがって
もうどうしても東洋だけの問題としては片づかない事がハッキリして来た頃です
軍部や政府の手で
文化方面のすべての事から自由がうばわれ
演劇の世界でも、それまで有った
左翼的な新劇団などが
おさえつけられたり解散さされたりした後で、
私の入ったG新劇団も、本式の公演をやめてしまって
工場や農村や軍の施設への慰問のための
移動公演などを主としていました
後で私にわかった事は
劇団の中には、かつての左翼くずれの人たちも、たくさん居て、
未だにそれらしい事を言ったりしたりしていながら
戦力増強のシバイも真剣に腹からやっています
その関係が私にはよくのみこめませんでしたけれど、
とにかく指導者の人は山田先生のお弟子さんであり
ケイコのはじめには宮城をよう拝し
公演開幕の前には「国民の誓い」を唱和する式で
それも腹からまじめにやっている人が多いのです
私はそれを信じ
よろこび勇ん
前へ 次へ
全91ページ中27ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング