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ドシン、ドシン、ドシンという石の音。

それに合せて歌う香川の歌声が表へ出て来る。

…………
蜀軍の旗ひかりなく
鼓角の音もいましづか
丞相《じょうそう》、病《やまい》あつかりき。

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(二)[#「(二)」は縦中横] 清渭の流れ水やせて
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むせぶ非常の秋の声
夜は関山の風泣いて
暗《やみ》に迷うか、かりがねは
…………
[#ここで字下げ終わり]


[#3字下げ]第5回[#「第5回」は中見出し]

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 勝介
 春子
 船客一(男)
 同二(女)
 同三(フランス人の女)
 同四(フランス人の男)
 ボーイ 他に三人ばかり
 金吾
 壮六
 お豊
 おしん
 喜助

音楽

「ジャアーンと鳴りひゞく大銅羅の音。しばらく鳴ってから、やむ。」

「やむのを合図にデッキに並んだ管絃楽隊から『螢の光』の曲が起る。」

「ゆっくりとハトバを離れはじめた一万トン級の汽船の船内の物音。――ゴーと言うような鈍い響に、クリッ、クリッと何かの滑車の音、タタタとデッキのタラップを走りおりる船員の靴音、それに舷側に並んでハト
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