金吾 (すこし先きに歩きながら)はは、まだてっぺん迄は半分も来ていませんよ。
春子 ちょっと休んで行かない、ここらで?
敏行 休もう、ふう!(ドシリ、ガサガサと草の中に身体を投げ出す)
敦子 私は平気よ。行きましょう、金吾さん(登って行く)
香川 (まだ寮歌をハミングで歌っていたのがフッとやめて)やせがまんはよせよ、敦ちゃん!
敦子 太古、太陽は女性であった!
敏行 ちえっ、チャチなブルー・ストッキング!
敦子 (歌)(と、ハアハア言いながら登って遠ざかる)待ってよ金吾さあん!
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(先に行く金吾と敦子の二人と後に残った香川、春子、敏行の三人の二組にスッと別れる感じをハッキリ出す)
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香川 まったく、思ったよりはあるな、ふう!
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(と草の中に腰をおろす)
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春子 急に寒くなって来たわ。もう日が暮れるのかしら? もう帰らない?
香川 春子さん、くたびれたんですか?
春子 ええ、ちょっとね。
香川 ここにハンケチ敷きましたよ、ちっと掛けたら?
春子 ありがと。
敏行 ねえ香川君、ゆんべの議論
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