し、私が今度持って来てあげよう。いや今度と言うよりは、今日これから私は海の口の林さん――郵便局をやってる、カラマツの植林に熱心な、あの人んとこにチョット行くから、あすこにでも有ったら手に入れて来てあげよう。そりゃ、テッキリ水温だ。なんとか水温を上げる工夫は無いかなあ?
金吾 いろいろ私も考えやしたが――ここらでは昔っから取入れ口をこんな風にアゼを幾重にもつきやして、日光であっためる事あやっていやすけど、それ以上の工夫と言っても――
勝介 そうだ、陽のよく当る所に小さい貯水池を作ったらどうだろう?
金吾 貯水池でやすか? ふむ……
勝介 まあまあ、いろいろやって見ることだ。私も考えてみよう。なあに、一里も下にはチャンと出来ている稲作だ。なんとか作って作れない事は無い。気永がにやることだ。[#「やることだ。」は底本では「やることだ」]私はこれから海の口へ行くが、暇だったら今夜でも私んとこへやって来てごらん。もっとも、春子がああして三人も友達をつれて来ているから小屋は騒ぎだがね。まあまあ君も遊びがてらやって来るさ。
金吾 はい、ありがとうございます。
勝介 あれたちは、これから山へ登るんだと
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