ネどの叫び声と、ダダダダダと走る足音だけ)
春子 金吾さん! 金吾さん!(二、三間先に駈けぬけながら)
金吾 春さん! 春さん! あんまり先へ行くでねえ! 俺から離れるでねえ! それを右へ行くだ、その階段を上って、そうだ。
春子 金吾さん、一郎に気をつけて!
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言ってる間にも、投下される爆弾の地ひびきと、それの間を縫って落ちてくる焼夷弾のカラカラカラカラという音。それに向って発射される高射砲のとどろきなどが、殆ど耳を聾せんばかりに鳴りはためく。
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金吾 春さーん! 右へ上るだ!
春子 (ずっと先の方で)金吾さーん!
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ダダーン、ガラガラガラ、ズシン、 ダダーンとすべての物音を叩きつぶすように爆音が鳴りはためく。それが暫く続いて……
だしぬけに、すべての物音が消えて、シーンと静かになる。
やがて、遠くの方で、誰か、かすかに「うー、うー」と何かを呼んでいる……
海尻駅の大時計の秒刻。コツ、コツ、コツ、コツ……、駅の事務所の中の駅員の声。「はあ、海尻駅でやすよ。はあ、海尻でやす」
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金
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