。……そうする方がいいか? そうだな……
浮浪児の少年 (トットットットと駈け戻って来て)あい、おじさん、切符だぜ。松本行しきゃねえとさ。少し高いが二百円くれ・。[#「・。」はママ]
金吾 こりゃどうも、ありがとうよ。そうかよ、そりゃありがたかった。(と、金を出して少年に渡しながら)ところがねえ、ねえ君、すまんが、もう一枚、切符を頼まれてくれねえかねえ。小諸まででも松本まででもどうでもいいんだ。
浮浪少年 だけど、もうねえと言ってたがなあ。
金吾 お願えだ。このな、親戚のおばさんと、この赤ん坊を信州へ連れて行くんでね、助けると思って、よ。
浮浪少年 あーん? 怪我したのかい、おばさん? うわあ、かわいい顔してるなあ、この赤ン坊。
春子 お願いします、ね。
浮浪少年 よし、そんじゃ手に入れてきてやるから、待っていな。なあに……

[#ここから3字下げ]
少年が駈け出そうとした途端に、だしぬけに遠くの方からひびいてくる空襲警報のサイレン。サイレンは次々と、リレーで近づいてくる。
[#ここで字下げ終わり]

春子 あ、空襲だ。
浮浪少年 ヘヘヘ、来やがったな。へっ。(あざ笑いながら、立って
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