の方へ行こうと思ったけど、その途中でまた空襲があるし、道がわからなくなってしまって、そいでね、そいでね、仕方がないから野辺山の[#「野辺山の」は底本では「野返山の」]あなたの所へ逃げようと思って、ここで、もうおとついか昨日からさんざんナニしてるんだけど――(メソメソ泣きはじめる)
金吾 泣かねえでもいい、春さん、泣かねいでも、もう俺がちゃんとこうしているのだから、大丈夫だ。春さん、どこも何ともねえだね? 怪我はしてねえな?
春子 ううん、でも胸のここんとこが痛い、この間の空襲の時に、なんか落ちてきて、ここへあたったの。
金吾 え? ええと――(着物をはだけて見て)おおこいつは、もしかすると骨が――ここが痛いかね?
春子 うん、少し痛い、でも大したことはないの。一郎は元気?
金吾 元気だ、ほら。
春子 おお、よかった! 私はどうでもいいけど、この子に怪我をさせたら、敏子や、それよりも杉夫さんに対して申訳ないと思ってね――食べるものだって、この子にはずうっと牛乳を買ってやったりなんかして――よかった!
金吾 そうでやすか。そうだ、春さんおなかがすいてべえ、ええと……(リュックの紐をといて
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