唐ニぐずる)
中年の女 (わきに居たのが)やれやれ、よかった! あんた、家の人ですかね? なんか、この人は胸を打ったかなんかで、ひどく弱っていますよ。あんた、しっかりしなさいよ、家の人が来てくれましたよ!
金吾 どうもありがとうございました。春さん、金吾だ、しっかりするんだ。
中年の女 この水を飲ましてあげなさいよ。
若い女 (わきに居たのが)赤ちゃんをほどいてやらないと無理だわ、どれどれ。(紐をほどいて、一郎を抱きとってやる。その一郎が「ウーム、ウーム」という声)
金吾 どうもありがとうございやす、どうも――(中年の女が渡してくれた水筒から、春子に水を飲ませながら)春さん、しっかりするんだ、金吾でやすよ。
春子 うーむ、うーむ!(唸る)
駅のアナウンス みなさん、高崎行の列車が間もなく出ますから、切符をお持ちの方は改札口に並んでくださーい、高崎行の列車が出ますから――
中年の女 あれっ、高崎行が出る。そいじゃあんたがた、大事にしてな。
金吾 (水筒を返しながら)へえ、どうもありがとうございやした、助かりやした。(その水筒を受けとって、中年の女はコトコトコトと走って去る)
金吾 (若い
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