チたが……金吾君、君はなにか食べるものを持っていないかな? わしあ、この二三日、実になるようなものをなんにも食ってないもんだから、もう腹が減って、腹が減って……
金吾 そうでやすか、ちょっくら待ってくんなして。(リュックサックの紐をほどいて、リュックを開けながら)金太おめえこの中に入ってな、その敏子さんの置手紙というやつ――壁に貼ってあるそうだ、それを探して来てくれろ。
金太 あい!(立って横路地の、その店の横にひらいた戸口をガタガタ開けにかかる)
金吾 そうだ、とにかく中へちょっくら入りやしょう、さあ!(リュックをさげてそれに従う)
敏行 なんか食べるものさ。あったら、とにかく早く、なあ君!(まるで乞食のような言い方で、二人に続いて戸口を入る)
金吾 (入った裏口の、たたみの土間の上りがまちに[#「上りがまちに」は底本では「上りがままちに」]リュックを置いて、その中から竹の皮包の握り飯をとり出す)そいじゃ、これをお食べなして。春さんや敏子さまやそいから横浜の敦子さまにも食べさせべえと思って持ってきたやつで――。
敏行 (ひらかれた竹の皮包の握り飯を一目見るなり、ガタガタふるえる手で、
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