ツかみかかるように、その二つばかりをとって、いきなりかぶりつく)あ、こらあ君、白米の握り飯じゃないか! こうあ――あ、ふう―― うむ――(歯を鳴らし、ピチャピチャと音をさせて、むさぼり食う)
金吾 ……(その有様をジッと見ながら)そんな急がねえで、急いで食うとノドに詰まる。
敏行 うむ、うむ――(言ってるそばから、ノドに詰まったようで、眼を白黒させて、グウッグウッと音をさせる)
金太 (内から戻って来て)お父ちゃん、これがそうじゃねえかな?
金吾 よし。(金太の渡す紙切れを受とって)いけねえ、ノドに詰めた。金太、そこらに水はねえか?
金太 うん?
金吾 ああ、そこの棚のヤカンをちょっと取ってみろ。
金太 (ヤカンの音をさせて)ああ、へえってらあ、あい。(と、ヤカンを持って来て金吾に渡す)
金吾 さあ、これを飲みなせえ。(敏行につきつける)
敏行 う、う――(ヤカンから口飲みをして)
ふうーっ!
金吾 (敏行の背中をトントンと叩いてやりながら)あわてねえで。
敏行 どうも、すまん、なんと言ったらいいか、金吾君、ありがとう、ホントに――(少し落ちついてムシャムシャと音をさせて握り飯を食う)
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