ソゃんは入営見送りを兼ねて、二人で広島の方へたって行ったのです。その後、春さんは私のところに引とり、金吾さんは家のことがあるので、いつまでも東京に居るわけにはいかないので、信州へ戻って行きましたけど、妙でございますねえ、その晩の結婚式の間も、それから家へ戻ってささやかな披露の酒もりをしている間も、春さんは殆ど一言も口をきかないで、ただ嬉しそうにニコニコしていましたが、その眼がしょっちゅう金吾さんの方を見ているのです。そして、なにか夢を見るような、ボウーッと上気したような薄あかい顔をして、それはそれは美しい眼をして金吾さんの顔ばかり見ているんですの。春さんとは私長いつきあいでしたけど、あんなに綺麗なあの人の顔を、それまで見たことがありません。その様子が、なんですか、今結婚式を挙げているのが自分の娘の敏子と杉夫じゃなくて、ご自分と金吾さんだと思っているんじゃないかという気がしたんですの。ずうっと後になって春さんからききましたら、やっぱり私の思ったとおりで、あの時結婚式を挙げてるのは自分と金吾さんで、そして翌る朝、杉夫と敏ちゃんを見送りに行きながらも、新婚旅行に出掛けるのが、ご自分と金吾さん
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