ヌうしてそれが、不幸に落ちることになるの、敦さん? お願いだから、私の言うとおりにして頂戴。だって私なんぞ、ホントはこの金吾さんと一緒になればよかったのよ。それを、つまらない、余計なことばっかり考えたり迷ったりして、そうしなかった。そいで、私は幸福になったの? 敦さん、私は私と同じようなことを、この敏子に繰り返させたくはないの。人間だから、誰にしたって明日が日にでも死ぬかもわからない。杉夫さんが出征して、一ときしたら死ぬとしても、それはその時のことで、私知らない。敏子は杉夫さんと結婚しなくちゃいけません。そいで五日でも六日でも、その広島の方について行って、ご一緒に暮すの。それが一番よ、敏子、それが女の道よ。いえ、女にはそうしかできないのよ、ホントは。そうしかしてはいけないのよ、わかってね。木戸さんも、みなさんも私の言うことわかってね、お願いですから。私と同じようなあやまちを、敏子にさせてはいけないのよ、お願いしますからね!

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(一座がシーンとしてしまう)
[#ここで字下げ終わり]

杉夫 (激した心を抑えて)ありがとう、お母さん! ……僕は敏ちゃんと結婚します!
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