u敏子」] (子供が読本でも読むように、非常に単純な言い方で、スラスラと殆ど一息に言う)……いいえ、私は眠っちゃいません。みんな聞いているの。私は敏子の母親です。敏ちゃん、私はね、頭が馬鹿だけど、私はあんたのお母さんよ、だから、私の言うとおりにしてね、あなたは杉夫さんと結婚しなくてはいけません。杉夫さんもなんでもいいから敏子と結婚しなくてはいけませんよ。
杉夫 だけど、僕はもうすぐ出征しなくちゃならない人間です。
春子[#「春子」は底本では「敏子」] 出征なさろうと、何をなさろうと、そんなことどうでもいいの。あなたは敏子をお好きでしょ? 戦争に行くのでなければ、結婚したいと思っているのでしょ?
杉夫 ええ、そりゃそうです。
春子[#「春子」は底本では「敏子」] それならば結婚して下さい。私は敏子の母親です。その、私が言うのです! すぐに結婚して下さい。
敦子 でもねえ春子さん、必ず死ぬということを考えないでは戦争には行けやしないのよ、杉夫がもしそうなったら、敏ちゃんは後に残ってどうするんですか。結婚式を挙げたばかりで敏ちゃんの方は未亡人。みすみす不幸の中に落ちることになるのよ。
春子 
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