ィっしゃろうとすることは私にはわかるけど、しかしね、今主人の言った、この際そういうわけにはいかないんで、いえ、これの親は――母親だけですけど、広島の田舎に居ましてね、まあ、こういうことについても、ホントから言えば相談しなきゃならないんでしょうけど、実は向うでも、まあ何から何まですっかり私達に任せてありましてね、こんだ入隊する前に母親とも逢って行くわけなんですけど……私達はこれ以上のことは言えない。
敏子 (その場の空気におされて、涙を流している)しかしおばさん、すると私はこのあと、どうして行けばいいんです? どうして生きていけばいいんですの?(畳に泣き伏す)
杉夫 (気持をおしこらえたまま)敏ちゃん、君がそう言ってくれる気持はありがたいと思う。しかし、その君の気持を僕は受けられないんだ。それをわかってくれ。今わからなければ、二年か三年たってから必ずわかってくれると思うんだ。
敦子 (傍を見て)あら、どうしたの春子さん? 眼が覚めた?(春子がムックリと起き直る気配)
春子[#「春子」は底本では「敏子」] うん。(子供のように頷く)
金吾 どうしやした、春さん?
春子[#「春子」は底本では
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