「出すかわからないし、大体事柄がのみこめやしないと私思うの。
杉夫 (しっかりした語調で)だけど敏ちゃん、この問題については、僕と君との当時者の意見が一番大事だと思う。それがもうきまっているんだから、もう問題はないんだ。
敏子 だから杉夫さん、私は――
杉夫 だから僕は、こういう際に君と結婚することは問題にならんし、この際、今迄の君との婚約も一応取消したいと言ってるんだ。
敏子 すると私はどうなるんです?
杉夫 でも、出征するのは僕なんだから――
敏子 だって私はね、杉夫さん――
木戸 そうだ、出征するのが杉夫で、そして現在出征するというのが、どういうことを意味するか……とにかくその覚悟がなければなるまい、今となっては。まあまあ敏ちゃん、そこのところは、あんたも察してあげなくちゃならんと思う。わしらとしても、杉夫が、木戸家の養子になって、私達の後を継ぐ人間であるためにこれ以上のことは言えない。まあ、この際は一応結婚は取消すということにしておくのが一番よくはないかね。
金吾 しかし木戸さん、敏子さんがこれだけおっしゃっているというのはですね、よくよくの、この――
敦子 金吾さん。あなたの
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