A俺あ二三日ついて行ってくるからちってな。
お仙 でも、こんなに戦争恐がっとるおばさんが、どうしてそんな東京へ戻りてえずら? よしゃいいにな。
金吾 それがな、敦子さまから手紙が来て、ほら、お前も知ってる敏子さんがお嫁に行く筈になっていた杉夫つう人が、今度出征するそうでな、いや敦子さまの方では、別に上京して来いなんずとは言って来てねえが、春子おばさん、どうしても上京するつうてきかねえから。金太は海尻の内で待っててくれ。どうで帰りには、海尻の方で降りて、一緒にこっちへ上《のぼ》って来べえ。
金太 どうしたんかなあ、おばさん、きんにょ[#「きんにょ」に傍点]も俺が、東京へなんぞ行ったって、大戦争が始まったんだから、恐えことばかりだから行くな行くなって言うとね、しまいに泣くだよ。私は死んだって東京へ行って、敏子やそのお婿さんに逢うだと。
お仙 しょうがねえなあ。(先に行く春子に声をかける)おばさん、そんなに急いで行くと、ころびやすよ。
春子[#「春子」は底本では「敏子」] (ふり返りながら)お仙ちゃん、だって急がないと、汽車に乗り遅れるわ。
お仙 なあに大丈夫よ。野辺山なら下りの汽車が来る迄
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