ケん、一週間ばかりのうちに、広島の部隊に入隊するということになったんですが、さあ、そうなって困ったのは杉夫と敏ちゃんのことで、杉夫の方はこの際結婚のことは一応破談にして入隊すると言います。
しかし敏ちゃんの方は、この際、ぜひ結婚式をあげてくれと言って、泣いてたのむ始末で、両方で自分の考えを言い張って、どうしても話がまとまりませんの。
春さんに相談したくても、遠い信州で、それに頭があんな風になっておいでだし、横浜の敏行さんに相談したくても、これはもう、よりつきもしない有様で、そういってる間にも、広島の部隊に入隊しなければならない日は迫ってきます。
どうにも決めかねて、とにかくにもというので、野辺山の春さんの方へそう言ってやったのです。しますと……。

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凍てついてゴツゴツした小道を、春子、お仙、金太郎、金吾の四人が、駅の方へ急いで行く足音。先頭にジョンが駈け廻りながらついてきながら、時々吠える。
ビューッと風の音。
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金吾 そいじゃな、お仙ちゃん、お父うやおっかあによくそう言ってくれろ。春子おばさんがどうしても東京へ行くと言ってきかねえから
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