Bでもまあ、あんなに戦争を恐がっている春さんのためには、野辺山にああして過ごしていられれば何よりだと思っていましたところへ、またヒョンなことで、こちらへ春さんが出てきてしまうことになったのです。
それは、敏子ちゃんをあんな風にして、新橋の置屋から私の手許に引きとって以来、私の主人の貿易の方の店の方に、会計その他の仕事をやらせて四五年たちましてね、それは綺麗な娘さんになりましたが、恰度私達夫婦に子供がありませんので、広島の方の私の親戚から杉夫という甥を引取って養子にしてありましてね。
その杉夫に私達の内を継がせるということで、恰度暫く前から出していた銀座裏の支店を杉夫に委せてやらしていまして、そこへ敏子ちゃんを会計係として置いてあったのですが、この杉夫と敏ちゃんが、想いあうようになりましてね、それが両方とも浮いた気持でないということがよく分ったものですから、近い将来に結婚させてあげようと思っていたんです。
春さんにも相談しましたら、春さんも大賛成で……そこへ大東亜戦争が始まる。で学生時代に肋膜をやったりしていたために、兵隊の方はなかった筈の杉夫に、急に召集令状が参りましてね、仕方がありま
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