A上りの汽車は待ってるだから。
金太 お姉ちゃん、おばさんの手を引いてやれよ。
お仙 おい、(春子に近づいて、手を引いてやる。ジョンがずっと先で吠える)
金太 お父ちゃん、その荷物俺が持つべ。
金吾 なあに、荷物はいいから、そうさな、この金でな、お前先に行って東京――新宿までだ。新宿までの切符を二枚買っといてくれ。そいから、お前とお仙ちゃんの海尻迄の切符を二枚だ。
金太 あい。
金吾 そいからな、大がい今頃はトラクターは動かさねえが、どうにかすると駅の前あたりでやってることがあらあ。あれを見せると、おばさんまた恐がるからな、トラクター居るかいねえか、見てくれ。見たらな、引返して知らしてくれりゃ、傍《わき》の道から停車場に入るからな。
金太 あい!(元気よくかけ出して行く)
春子 あら金太さん、何処へ行くの?
金太 先に行って切符買っとくだ。(遠ざかり行く金太郎の声の後を追って、ジョンがワンワンと吠えながら)
春子 ジョン! ジョン!

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(少し離れたところを列車がゴウーッ、シュッと通りすぎて行く音)
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お仙 あっ、汽車がきた!
春子 あっ
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