ノ相抱いて震えながら耳をすまして立っている二人。
それに向って吹きあげてくる谷川のひびきと、再び風の加減でガラガラと迫ってくるトラクターのひびき。
[#ここで字下げ終わり]
[#3字下げ]第16[#「16」は縦中横]回[#「第16回」は中見出し]
[#ここから3字下げ]
敦子
金吾
お仙
金太郎
春子
敏子
杉夫
木戸
男の声
音楽
[#ここで字下げ終わり]
敦子 (語り、中年過ぎの)はあ、その時のことは、春さんと金吾さんからずっと後になって聞いたんですの。私が県道の傍で金太郎ちゃんやお仙ちゃんなどと歌っている間に、その奥の崖の上で、金吾さんと春さんが、もうちょっとのところで、崖から飛び下りて死ぬところだったのです。つまり、年のいった金吾さんと春さんが、まあ、心中するところだったわけですねえ。
……まるで小さい子供のようになってしまった春さんの頭が、なんと思ったのでしょうか、急に若い時分から私がホントに好きだったのは、金吾さん、あなただった、と言ったそうです。そして、私という女は自分のホントに好きな人のところへは、生きてる間は行けない、だからここで一緒に死
前へ
次へ
全309ページ中249ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング